最近よく耳にする「永代供養」って何を意味するのでしょうか?
ウィキペディアで「永代供養」と検索しますと、「数年代にわたる比較的長期の年月をかけて、死者を供養する行為を指す」とあります。
現代では寺院墓地、霊園業者がその永代供養を宣伝のように使用していることが多いようですが、その永代供養という言葉に信頼を向けすぎて言葉どおりではない決め事もありますので、りょう石ではその点を深堀していきたいと思います。
永代供養をとよく耳にしますが、「永代使用」「も同じようにとらえている方や、混乱されている方も多いと思います。
永代供養墓と永代使用料は意味が同じ!? いえいえ意味が違います。
深掘りする前に永代供養墓と永代使用料の違いから説明します。
永代使用料とは
永代使用料とは、「墓地を永代にわたり使用する権利を管理者に支払うこと」です。
主にお墓を建てるときに墓地を使用するときの権利です。
永代使用料は、墓地の管理を行う、寺院や霊園に対して支払います。
よく、お墓を建てるのに300万かかったと聞きますが、それは石材店に支払う墓石代金+管理者に支払う永代使用料の合計が300万ということになります。
永代供養墓とは
永代供養墓とは、「遺骨を永代に供養してもらう権利を管理者に支払うこと」です。
お墓参りに行けなくなった、お墓の継承者がいないためにお墓の維持管理ができなくなったなどの理由により、お墓を建てて管理する形態から、永代供養墓として今後の管理形態を変えることを示します。
永代供養墓は、子や孫などの後の世代にお墓を継ぐことを前提としないお墓です。
お墓参りできない人に代わって、寺院や墓地の管理者が遺骨の供養と管理をしてくれます。
ここ最近では、少子化、高齢化、核家族の増加により、そもそものお墓に対するイメージが変わりつつあります。
もともとは、先祖代々とお墓を用意されるパターンが一般的でしたが、近年では考え方も変化して、永代使用料を払いお墓を建てるいわゆる、お墓を持つというイメージから、先々を意識した永代供養墓を用意してある一定の金額を払い供養、管理してもらえる埋葬方法を選ぶ方も増えて参りました。
永代供養墓は無縁墓(無縁仏)とは違うの?
「無縁墓(無縁仏)」との違いについても、少し触れておきましょう。
簡単に言うと、無縁墓(無縁仏)はお墓を受け継ぐ子どもや親戚などの縁故者がおらず、誰もお墓の管理や供養をする人がいないお墓のことです。
これに対し、永代供養墓は施設を管理する寺院が故人の供養を代理で行ってくれます。
無縁墓(無縁仏)は、核家族化や少子化が進むにつれ増え続けており、いずれ撤去されますが、このときの撤去費用は最終的には墓地利用者の管理費に含まれてしまう=誰かに迷惑をかけてしまうということになっているようです。
ここまで永代供養墓と永代使用料の違いを説明させていただきましたが、ご理解いただたかと思います。それでは、次は永代供養墓について、更に詳しく見ていきましょう。
永代供養墓のメリット
永代供養墓はお求めやすいといということが一番のメリット
従来ですとお墓のご購入をする場合、先ほどお話ししたように、永代使用料+お墓の手配で安くても100万以上はかかると言われていますが、永代供養墓は5万~100万の範囲で、墓所を用意してお墓を建てることを考えると、かなり安上がりではないかと思います。 一般の墓地のように継承者が無くても購入可能であり、ご家族の心配や負担をかけたくない方に向いています。
永代供養墓は「転ばぬ先の杖」
よくよく考えると、継承者がいないと感じるのはある程度の年齢を経てからではないでしょうか。
いわゆるある思いの中で一般墓所を建立されて年月を経て、この状態だともしや、このお墓は継承者がいなくなるのでは…と思われる方が案外多いのかもしれません。
永代供養墓ですと、その点も事前に想定の上で前もって手続きを行うことができることになります。
転ばぬ先の杖ではないですが、先々のことを想定して先に永代供養墓に入ることを前提に決めてしまうということになります。
永代供養墓のデメリット
永代供養墓は今までの墓地、墓石のライフスタイルの変化から少子高齢化、核家族化によって、お墓に対する考え方やお墓の持ち方は大きく変わることにより
ここにきて、こぞってお墓を建てるよりも永代供養墓とやや言葉が独り歩きしている場面もチラホラ見受けられます。
その時の状況は永代供養慕しかない状況で、子供や家族の負担を軽減するつもりで用意したつもりが、年月が経ち子供も大人になり、いざふたを開けてみると「こんなはずじゃなかった…」という場合もございますので、ご購入前にご家族でよく相談されることをお勧め致します。
永代供養墓の契約の条件として、ある程度の期間が経過すると、そのお骨は合祀(ごうし)されます。
合祀とは、他の方とお骨が一緒になるということです。
最初のころは、お骨を合祀することに何の違和感もなく自然な行為と思う方が多いと思いますが、一度、合祀しますとほかの方と一緒になり、後からそのお骨を取り出すことは完全に不可能となります。
また合祀は親族の方々と一緒に合祀する場合と全くの他人と合祀の場合がありますので注意が必要です。
契約当初は、合祀をすることに何ら違和感がなく、親族のお骨を合祀された方がいらっしやいますが、年月が経つにつれ、そのころとは気持ちの変化があり、親族のお骨を合祀したことに後悔するようになったようですが、一度、合祀されますと、あの頃と今とは気持ちが変化したとしても、二度とお骨はもとに戻せなくなります。
あとで説明いたしますが、最初からの合祀ですと、一番金額が安くなりますので、そのくくりで判断はされないように注意が必要です。
永代供養という言葉から、永遠に合祀されないわけではございません。
実際には、即合祀、3回忌、7回忌、13回忌、17回忌、33回忌とまでといった内規がある場合があります。
また、霊園の倒産、寺院の廃寺により厳密にいえばこの永代供養もお約束できるものではないことをご理解ください。
永代供養墓の販売元により、バリエーションが豊かで魅力的な内容がある反面、それに伴うルールを理解したうえでご検討することをお勧めします。
それでは、個々の用途に合わせた永代供養墓を説明します。
個人墓
その名の通りお一人で入るお墓です。
見た目は通常のお墓と変わりませんがご夫婦でもなく、家族でもなく、個人のみで使用するお墓です。
それこそ他の人とお墓に入る必要がなく、お墓も継承する必要はありません。
しかしこの場合も期間がまちまちですがある一定の期間で合祀されることが一般的となります。
夫婦墓(めおと墓)
その名の通り、ご夫婦で入るお墓です。
実家が遠方にあり疎遠になっている、長男ではないし、実家の近くでもないので、夫婦間で私たちのお墓を考えたい、そして、新規のお墓を新たに建てるのではなく次世代の子供たちに継承させずに夫婦だけのお墓を建てたいという方向けです。
最近は、子どもたちに迷惑をかけたくないという気持ちで選ぶ方も少なくないようです。
また、お子様のいらっしやらないご夫婦も、夫婦墓を選択される方が多いようです。
樹木葬
最近「樹木葬」「という言葉もよく耳にする機会が多いと思います。
樹木葬とは、従来の墓石があり、カロート(納骨室)があり、お墓を納めるというスタイルを一新しているところが今風で斬新なイメージがあります。
樹木葬とはその名の通り、墓石ではなく樹木を墓標として遺骨を納めるスタイルとなります。
樹木の下という感覚が今の方々の感覚にぴったりと合う感じがあり人気のある納骨方法となります。
ただ、樹木の下に埋葬すると言っても色々な納骨パターンがありますので、一部ご紹介いたします。
2. メインとなる樹木の下に埋葬はしますが、ほかの方々と一緒に埋葬する合祀はせずに、メインとなる樹木の下に、区画を分けて個別に埋葬する集合型樹木葬、1本の樹木を個別に用意して、その樹木の下に遺骨を埋葬する個別型樹木葬
樹木葬は考え方として、すべての生き物は万物同様に亡くなった後は自然に戻る考え方のもと、近年では、木の下に眠りたいと思う方も増えているようです。
樹木葬にかかる費用は、合祀タイプが3万円~20万円、集合型樹木葬が10万円~50万円、個別型樹木葬が20万円~100万円と従来のお墓タイプからかなりリーズナブルな価格です。
当然各販売元で他社とは違う特性で販売をされており、ご検討される際は、エリア、金額、形態等を照らし合わせてご購入を検討されることをお勧め致します。
納骨堂
それぞれ時代ごとの流行があるようで、樹木葬の前にはこの納骨堂という言葉をよく耳にする機会があったのではないかと思います。
納骨堂は、遺骨を埋葬する建物を表す場合が多いようです。
納骨堂には、ロッカータイプ、仏壇タイプ、可動タイプなどがあります。
すべてスペースの関係で、お墓を建てるよりもよりコンパクトに設計された納骨堂が多く、費用も少額で済み、お墓という概念の無い方には人気が高いようです。
納骨堂にかかる費用は10万円~200万円程度です。
仏壇式の納骨堂は、霊廟型(霊廟型)とも呼ばれ、仏壇が横に一列並んでいる状態です。
一般的には上段は仏壇タイプとなり、それぞれの宗派に合わせた位牌等を設置することができますので、遺影、物花、お供物を飾ります。
下段には遺骨を納める空間があります。
そのまま簡易に手を合わせることが可能となります。
可動式納骨堂
都心のアクセスの良い場所につくられる場合が多く、名の知れた寺院墓地を現代的にリニューアルした近代マンションのようなコンセプトで販売されるパターンが多いのが可動式納骨堂です。
お値段も50万~300万程度の高額になる場合もございます。
自動搬送式納骨堂と呼ばれる可動式納骨堂が流行っています。
遺骨はある決められた箇所に保管されていますが、お参りに来たタイミングでその管理納骨堂で決められた操作をすることでお参りすることができます。
例えば、専用のカードをカウンターに通すことにより骨壺やお位牌がお参りのスペースに自動的に出てきて、お参りすることができ、映像がスクリーンに現れてお墓参りしている臨場感があります。
メリットとしては、それぞれの可動式納骨堂は創意工夫しており、よりモダンな雰囲気を醸し出しており、雨の日でも気にする必要がなく、カード一枚でお参りが可能という点です。
デメリットとは言えませんが、自動式納骨堂は管理等に費用がかかるために高額なイメージと、その時は、モダンデザインで時代の先端だとしても、年月が経つとより他にモダンなシステムが出現してしまう場合もあり、検討する側の判断が必要です。
納骨堂にも合祀タイプの永代供養墓が存在し、複数の方のご遺骨が同じ場所に埋葬されます。
ロッカー式や仏壇式のものにも永代供養ができるものがあります。
自動搬送式の納骨堂は永代供養付きのお墓は多くありません。
永代供養墓(合祀)または合葬(合奏)
最初段階で骨壺からお骨を取り出して、他の方と一緒に埋葬する方法です。
例として、古くからの代々のお墓の中には、あまりにも古すぎて、不明のお骨が出てくる場合もあります。
年月が経過しすぎて、100年以上経過した状態のものもございます。
また、管理者が途絶えてしまったお墓、いわゆる無縁慕(むえんぼ)もございます。
最近の霊園ではありませんが、歴史のある名刹、古刹などでは、それこそ100年以上経過して朽ちる寸前の無縁慕がございます。
昨今では、墓地管理費の滞納等で数年以上も放置されて荒れ果てたお墓もございます。
そんな場合も、決められた行政手続きを行いお墓を撤去して、お骨を取り出し永代供養慕(ごうし)または合葬(合奏)する場合もございます。
様々な理由があり、そのお骨は先祖代々のお墓に納めるわけにはいかないなどで合祀する場合は、費用が3万~10万程度と比較的安価です。
永代供養墓をご契約された方からよく聞くのが、契約に際しての取り決め、提出書類(印鑑証明、戸籍謄本etc.)を用意したり、提出したり記入したりというのが思った以上に大変だったという声です。
むしろ、その取り決めが多く、また担当や管理者の確認事項が頻繁に行われる管理者の方が、将来にわたって安心ではないかと思います。
たまに耳にするのが、「うちの寺は、古くからの付き合いで、これから何かあったとしても、住職とは永代供養してもらえるから大丈夫、約束したから…」なんてよくありがちな話ですが、長い年月の中で住職も代替わりして管理者も変わり、方針が変わると、そうは言っても昔の口約束では何とも…という話もなきにしもあらずとなってしまいます。
昔は、お寺さんと檀家さんはそんな関係で成り立つこともあったかと思いますが、これから、新たに永代供養墓をご検討される方は、やはり現代社会のルールの中で細かい確認が多い永代供養墓ほど、未来永劫にわたっての安心を手に入れるためのプロセスと思っていただければ幸いです。
まとめ
永代供養墓は従来のお墓を立てるよりお求めやすく、すべてにおいて万能であり、現代のニーズにマッチした進化系のお墓というイメージがありますが、それでも費用はかかるものです。
ここまで永代供養墓のメリット、デメリット、どんな基準で選ぶのかお伝えさせていただきましたが、ご購入を検討されている方は、決して一人で決論を出さずに、配偶者、ご家族、信頼できる方に相談して、皆さんが納得できる方向で検討しましょう。
「家族に心配をかけたくないから」と一人で永代供養墓をお考えの方もいらっしゃいますが、逆に今後のためにご家族に相談できるきっかけになる場合もございます。
相談してみたら、「それだったら近くの霊園がいい」「こんなお墓もあるよ」「ここの永代供養墓が魅力的だね」等々、新たな家族の本音が聞けるかもしれません。
本音で話してみたら、家族のつながりができて考えも変わり、一からお墓について話し合うきっかけができたとうれしい報告もあります。
石材店もお墓を販売する、流行の永代供養墓を紹介することも大切ですが、ご家族の本音が聞けて、それがご家族の絆につながる橋渡しのできるというのも、今後の石材店のありかたかもしれません。
いささか余談となりましたが、お墓はどんな形態でも一度きりの購入となります。
それぞれが納得できる、お墓を選びが大切です。