記念碑は一般的には「モニュメント」とも呼ばれ、何かを記念したり、称えたりするために作られたもののことを言います。
地域や事象等の象徴性を示すものや、特徴的場所を示すといった目的があり、形態も銅像、彫刻など多岐にわたります。
こうしたモニュメントの存在が都市や街のイメージをつくり、ランドマークにもなっています。
また貢献度の高い個人を称えるものなどとして、生前の功績をたたえられて没後に立てられたり、あるいは本人が生前に自ら自分自身を自画自賛して建てたりすることもあります。
最近では、一般企業でも「創立◯◯年」等を記念して、記念碑を建てるといったケースも増えているようです。
今回は、この「記念碑・立像」について、掘り下げてみましょう。
記念碑・立像について
記念碑とは
記念碑とは前述のとおり、人物、時代、事件などを歴史的、社会的、文化的に永久に記念するために作られたものを言います。
英語では「モニュメント」、フランス語では「モニュマン」「(原語はともにmonument)と言います。
なおmonumentは「思い出させる」を意味するラテン語monereに由来しており、記念碑はその性格から以下の3つに大別されます。
(1)埋葬の地に作られる墓碑(墓碑・墓標)
(2)特定の人物の記念,頌徳(しようとく)のためのもの
(3)歴史上の事件の記念のためのもの
立像とは
「立像」とは、文字通り、像の立った姿のものを指します。
宗教上は「りゅうぞう」といい、一般的には「りつぞう」とも読みます。
直立している像を「等足立像」、ほんの少し腰を曲げている像を「侍立像」、また片足を少し浮かせているものを「遊び足」といい、「遊脚像」と言います。
その他、ヒンドゥー教のの神像のような舞っている像を「舞立像・丁子立像」と言います。
記念碑の歴史
記念碑がいつ頃から作られ始めたのかは、明確にはわかっていません。
一般的には、方形板状の形をした「碑」が後漢(今の中国)の中頃から作られ始め、当初は、碑身の上部に「穿」という穴があり、碑首には「暈」という三筋ほどの虹形の溝があったと言われています。
その後、穿も暈もなくなり、「亀趺」という亀の形をした台座と、「螭首」という竜のような想像上の動物を碑の頭部に浮き彫りにする事が、中国では定型となりました。
その影響を受けた朝鮮でも同じような石碑が多く建てられています。
碑といえば「漢碑」と言われるほど、漢代には数多くの名碑が立てられ、漢代の石碑は秦代の小篆体の刻石に倣い、隷書の形式を正書体化するべく、さらに姿を整えたものになっています。
碑は「趺」と呼ばれる土台の上に「碑身」が載せられ、碑身の上部には、現在の額の起源である「題額」があります。
日本では宮城県多賀城市の多賀城碑、群馬県高崎市吉井町の多胡碑、栃木県大田原市の那須国造碑、および、京都府宇治市の宇治橋断碑がそれぞれ「日本三古碑」と呼ばれ、いずれも飛鳥時代~奈良時代にかけての8世紀前後のものと言われています。
しかし実際には、日本三古碑は考古学的に古い順によるものではなく、多胡碑の周囲の山ノ上碑、金井沢碑などは、これらより古い碑として存在しています。
記念碑の種類
記念碑には、さまざまな種類があります。
記念碑は誰かの功績をたたえたり、以前その地に何かがあったのを後世に伝えるための「碑(いしぶみ)」といったものが一般的ですが、会社の創業記念やスポーツや競技大会への出場等、何らかの記念として建てられるものや、和歌・短歌や歌の歌詞を刻んだ「歌碑(かひ)」、俳句を刻んだものを「句碑(くひ)」、詩を刻んだも「詩碑(しひ)」も多く存在します。
具体的には、会社・企業・工場・福祉施設・病院・各種施設・学校・神社・仏閣、保育園・幼稚園・公園などの竣工、周年を記念して建立するモニュメントなどです。
会社の創立記念碑や周年記念碑、学校の開校記念碑などは、比較的よく目にすると思います。
その他、芸能、スポーツ、文学、音楽、医学、科学、芸術など、様々な分野において功労者の栄誉を称え、さらなる発展と復興と振興を祈念して建立するモニュメントも多く見られます。
最近では、東京都東村山市の新型コロナウイルス感染が原因で亡くなった志村けんさんの像などは記憶に新しいところでしょう。
また、記念碑として建てられるのは、喜ばしい事柄のものばかりとは限りません。
みなさんがご存知「慰霊碑」や「災害記念碑」のように、悲劇的な事象が再び起こらないようにという後世への戒めとして建てられている記念碑もあります。
具体的には、地震、津波、大雨による洪水、土砂崩れ、道路の寸断、堤防の決壊、橋の流出、火山の噴火による土砂流などの災害に対する鎮魂の意、復興を祈念して建立するモニュメントなどです。
主なものとして、広島の原爆記念碑や長崎の平和記念碑などはどなたでも思い浮かぶと思います。
記念碑の素材
記念碑の役割は「記憶を残し続けること」ですので、屋外という条件でで永年に渡り使用できる素材として、石材が一般的な素材となります。
そのほとんどは中国製で、現在は価格が上がってはいますが、まだそれ以上の費用対効果を満たすための別の素材は見当たりませんので、中国製御影石をメインに計画されることをお勧めします。
主な石種とししては、黒御影石、赤御影石、灰御影石、桜御影石、白御影石などがあります。
価格は先頭の黒が最高値で、順に最後の白が最安値となっており、その価格差はくろと白ではおよそ半値となっています。
取扱業者は、主に石材店となります。
また、規模的には大きくなりますが、高強度コンクリート製の駆体に美術作品を取りつけるものも、よく見られます。
高強度コンクリートの場合は、工場で造ってから、現場で組み立てます。
この場合、取扱業者は主に建設・建築業社になります。
一般的な記念碑建立の流れ
最初に記念碑建立に関するご要望や全体的な構想を施工会社にお伝えし、その会社から企画の提案を受けるのが一般的です。
その後、寸法や建物の状況などの現地調査を経て、施工会社と施工方法や工事に関する確認を行い、イメージ図の提案や見積りをもらいます。
ここでは、工事に関する届出や法律条例などの確認・必要書類の準備など、施工会社と打ち合わせを何度か重ねる必要があります。
提案・見積りに納得したら工事を発注します。
工事着工の準備として、関係各所への届け出を済ませます。
(この工程は一般的に施工会社が行います)
完成後は設計図、指示書に基づいて検査が行われます。
工事終了後の工事箇所の確認は、必ず立ち会いのもとで行うことをお勧めいたします。
全てが終わったら、除幕式を行い、お披露目するのが一般的です。
次は、除幕式について、詳しく見ていきましょう。
除幕式について
企業の記念行事や公共イベントなどで見かけることが多い「除幕式」。
主に、新しい記念碑や銅像の完成を祝って行うですが、「やり方が分からない!」という方も多いのではないでしょうか?
ここでは除幕式の基本知識や開催準備のポイントなどについて、解説します。
除幕式とは
除幕式を行うことになる背景を見ていきましょう。
除幕式の主催とタイミング
主に企業などの各種団体が、その創立者や功労者を模した胸像・胸像・記念碑・記念塔などを新たに作成しお披露目する際、その現場で行われろのが除幕式です。
除幕式には主催側の関係者はもちろん、像や碑のモデルになった人の家族(遺族)が招待されたりします。
特に広場や駅などの公共の場での除幕式の場合は、関係者ではない一般の方もその様子を見学できることができます。
最近では、除幕式の事例も広がりを見せており、一定期間を設けたイベント初日にシンボルとなるモニュメントや看板をメインステージで初披露する際にも除幕式が行われています。
イメージ的に除幕式は日本的な感じがしますが、海外でも行われているところは多いようです。
除幕式の目的
建立物の完成を祝い披露するだけが除幕式の目的ではありません。
像の場合はそのモチーフとなった人の功績をたたえ、その偉業を振り返るきっかけとする意義もあります。
故人の場合は改めてその存在を偲ぶきっかけにするという目的もあります。
企業としてこの除幕式を行う場合、晴れがましいこの日を関係者だけではなく広く一般に公開することで、主催者であるその企業全体のイメージアップ、モチベーションアップにつなげるケースも多々あります。
言い換えれば、この除幕式を企業PRのチャンスと捉える考え方もあるということになります。
除幕式の準備について
「準備と言っても、どうしていいかわからない」という方がほとんどでしょう。
ここでは、除幕式の準備に関する基本的なポイントにについて解説します。
当日までに準備すること
除幕式当日までの準備項目を具体的に洗い出します。
一般的には、以下のようなフローになります。
1. 運営担当者の選定
除幕式当日のオペレーションはもちろん、体外的な窓口になったり、準備期間に発生するあらゆる業務を担当するメンバーを選定します。
2. 除幕式の開催日時とスタイルの決定
できるだけ建立物の由来に則った日程を選ぶのが一般的でが、特別な由縁に該当する日がない場合は、屋外で行うことも考慮して気候の良い春か秋などに行うことが多いようです。
より正式なスタイルで行う場合、日本での除幕式は一般的に神道のスタイルにのっとって行います。
もちろん、建立由来によっては、キリスト教や仏教など、他宗教のスタイルで行う場合もあります。
一方、単純に建立物のお披露目など、イベント的な意味合いが強い場合は、スタイルにこだわらず行うことが多いようです。
3. 参列者の決定と招待状の発送
主催側の関係者を中心にピックアップします。
招待に漏れがないように注意が必要です。
招待者が決まったら、招待状を準備します。
遅くとも1ヶ月前には届くよう手配しておきましょう。
4. 除幕を実際に行う担当者の選出
除幕を実際に行う担当者を「曳綱役」と言います。
大切な曳綱役は主催側が勝手に決めてしまうのではなく、周囲と十分相談を行うことが必要です。
個人の業績を称える除幕式の場合、その本人と血縁が近い人に依頼する場合が多いようなので、参考にして下さい。
5. 必要備品・設備の確認・調達とリハーサル
除幕式がスムーズに進むよう、当日現場で必要となるアイテムを確認して準備します。
進行に欠かせない「マイク」「演壇」「看板」のほか、会場に花を添える「スタンド花」など、除幕式会場の必需品も含めて、細かいところまでチェックが必要です。
除幕式全体の流れをに確認するリハーサルは、必須で行いましょう。
除幕式のハイライトとも言える曳綱役を縁故者の子どもたちが務めるケースもありますが、この場合は特に念入りなリハーサルをお勧めします。
一般的な除幕式の進行
「除幕の儀式」としての除幕式
竣工式・定礎式・落成式など、新しい建築物のお披露目と安全祈願を願う式典と一緒に行う場合がこのケースに当たります。
神事として執り行う場合、修祓(しゅうばつ)→降神(こうしん)→献饌(けんせん)→祝詞奏上(のりとそうじょう)といった進行に続く儀礼として「除幕の儀」を行います。
続いて他の祭祀と同じく玉串拝礼→撤饌(てっせん)→昇神→直会(なおらい)という一連の流れで終了します。
(基本的な例です)
「イベント」としての除幕式
公共スペースに配置するアート的な建立物の公開など、一般の人も自由に観覧できるような「フリーイベント」の一幕として行う除幕式の場合、式典といった厳格なイメージではなく、カジュアルなプログラムとして開催します。
このような除幕式は、開式→主催者挨拶→来賓祝辞→来賓紹介→祝電紹介→除幕→閉式という流れで行うのが一般的です。
まとめ
これまで、記念碑・立像から公開時の除幕式にいたるまで細かく見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
注意して見ていると、世の中には思いの外モニュメントの類は多く、実際「自分には関係ない」と思っていても、作る立場になるということは割りとあると思います。
その際にこの記事が参考になれば幸いです。
有限会社りょう石では、記念碑・立像のご用命も承っております。
【参考:記念碑・立像のページはこちら】
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